屋久島News

屋久島おおぞら高等学校✖️明治大学✖️明星大学連携でカードゲームを開発しました

屋久島のおおぞら高等学校と明治大学岸ゼミ&研究室および明星大学今野ゼミの地域連携&高大連携プロジェクトを2021年3月15日から18日までの4日間で実施しました。2021年に屋久島でのゼミフィールドワークを予定していましたが、COVID19感染防止のための緊急事態宣言下であったため、2020年度はオンラインで実施することになりました。2020年度のSENVUS実践では、屋久島の地域をテーマとしたSDGsと関わるゲーム教材を開発しました。1日目(15日)は、遊びと学び/発達について、教材開発のプロセスについて、SDGsについての講義を午前に行い、午後には実際に既存のカードゲームを経験しました。そして、2日目と3日目には、屋久島のおおぞら高校の先生方と明治大学の学部生および院生と明星大学の学部生の4つの混合チームがそれぞれ開発するゲームの企画をたて、4日目に発表しました。どのチームの企画も屋久島という地域をリソースとして遊びながら、屋久島をテーマに自然や世界の課題、SDGsについて学びあう工夫がされたものでした。今後これらを実際に開発して、2021年度には屋久島の学校や地域でこれらのゲームを実践していく予定です。

★プロジェクトの詳細はこちら
http://allstars.m-kishi.com/senvas/

★明星大学のウェブページ記事はこちら
https://www.meisei-u.ac.jp/2021/2021040201.html

★明治大学 国際日本学部のウェブページ記事はこちら
https://www.meiji.ac.jp/nippon/info/2020/6t5h7p00003aoy4j.html

以下、本プロジェクトの企画に関わった柴田さん、およびプロジェクトに参加した方たちからの報告です。

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柴田恒(明治大学 国際日本学部/国際日本学研究科 大学院進学)

今回は屋久島の先生方と大学生の交流ということで、屋久島とSDGsを組み合わせたボードゲーム型教材の製作を行なっていきました。結果、すごろくゲーム3つとカード教材1つがアイデアとして考えられました。どのゲームも屋久島の視点が上手く入っていて感動を覚えるとともに、各グループのどのメンバーもアイデアを出した過程が発表を通してひしひしと伝わりました。今回は多様な人が参加しましたが、自分が学生だと感じる機会がほとんどありませんでした。学生・教員・大学職員・社会人と"フラット"に関わることができたように感じましたし、この関係性づくりは「ボードゲーム型教材づくり」というクリエィティブで答えのない活動だからこそ生まれたものであるように思い、これまたボードゲームの魅力を発見したような気持ちです。また、こんなにも柔軟にそして遊び心のある先生方と活動する中で、機会があれば一緒に働きたいと強く感じる交流でした。

今回考えた4つのゲームは本当に形にしたいと感じます。この4日間をこれで終わりとするのではなく11月の屋久島集合に向けて完成させて持っていくことを自分の宿題にしたいと思います。また、屋久島に足を運ぶことができなかった3月でしたが、実際に行ったんじゃないかと思えるくらい屋久島の魅力を見つけることができた4日間でした。

「屋久島を舞台にしたボードゲームを作りたい」こんなつぶやきを初顔合わせの時にしました。菊池教頭先生に拾っていただいて正直、ここまで大きくなると思っていませんでした。また、案が通ってからも4日間という短い期間の中でどこまで作れるのか不安でした。しかしながら、本日の4つのグループの発表をみて今回の企画がここまで大きくなってよかったと心の底から感じました。自分自身、教材を作る時に「難しいなぁ、、」という気持ちと「楽しい、、!」という気持ちが半々なのですが、どのグループも楽しい思いが200%前に出てたように思います。教材開発は自身の研究テーマでもあります。この4日間の経験を大切にこれからも頑張ります。そして、難しい活動でありながら一生懸命に取り組んでくれた皆様に感謝の言葉とさせていただきます。ありがとうございました!

菊池亮平副校長(屋久島おおぞら高等学校)

今回の活動を通じ、「遊び」を前提とすることで知的好奇心がくすぐられ、こんなにも心地よいものなのか!と刺激を受けました。「遊び」を成立させる「気まま、気楽」な要素が、「学び」に相容れることで、どんどん前のめりになってしまう。遊びと学びは、分断されるものではなく、むしろ繋がり合うもの。これが共鳴し合うことによって、「学び続ける意欲」へと昇華されるものだと気付きました。そして、この活動の潤滑油となりうるのが「多様性」でもありました。誰かの「気まま」な発言が拾われる。そしてそれを形にする過程でアイディアを交換し、また新しいものが生まれてゆく。このプロセスを楽しめるのは「多様性を認め合おう!」というコミュニケーションルールを共有できていたからこそ。各チームの方法で、メンバーそれぞれの存在を確かめ合いながら、素晴らしい時間を共有することができました。継続性をもって取り組むことで、ワクワクの和・輪が広がることを期待しています。ありがとうございました。

橋本将英先生(屋久島おおぞら高等学校)

普段仕事をしているメンバーだけでなく、学生の皆さんや大学の先生方と協働で教材開発をすることはとても刺激になりました。とくに学びになったのはアイディアや思考をまとめあげるための手法です。ジャムボードやスライド等のアプリケーションを活用したミーティングの行い方は普段の業務の中ではあまり行われない方法だったのですが、とても効果的だと感じました。他のチームの方にも是非私たちのチームのジャムボードの内容も見ていただきたいです。どのチームのゲームもとても作り込まれていて、興味深いものだと思いました。
このワークショップに参加させて頂けたことはとても有り難かったです。

写真:ICT(Jamboardなど)活用し考えを可視化しながらアイデアを完成させていく
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菊池晏生先生(屋久島おおぞら高等学校)

最初は本当に一つのゲームを作り上げることができるのか半信半疑でした。とにかくやってみようという、フロンティア精神だけでした。しかし、学生と教員という立場を超えて考えを伝え合う中で、一つの教材が作り上げられていき、どんどん楽しさが増しました。気づけば夢中になって自分の考えを伝えていました。お互いの意見を受容することや、思い切って自分の意見を伝えてみることなど、体験学習そのものを一人の人として体験することができました。どうしても教員という立場である以上、責任感や、「場をまとめなくては」という必死な気持ちを持ってしまうこともあります。しかし、今回の活動を通してもっと純粋に楽しむことの大切さを学ぶことができました。また、受容することや挑戦してみることなど、生徒に大切にしてほしいことを身をもって体験することもできました。この経験を、生徒の学びの場づくりのためにどう生かしていくか、じっくり考えていきたいと思います。今回の活動を通して一つのゲームという形で、成果を出すことができましたが、それは初めからゴールを決めて作り上げたものではありません。意見を出し、意見同士が組合わされる中で徐々に変化し、一つの形となったものです。初めから一つの答えを決めてかからないことや、柔軟に発想することの大切さを感じました。これからも、教員という立場を超えて一人の人として、その場に向き合い、受け入れる姿勢を大切にしていきたいと思います。


原田栞奈(明星大学 教育学部)

久しぶりに脳みそを刺激されました。1・2年生の頃はみんなで話し合って何もない状態から新しいものを作り出す活動はやっていたものの、今年度はあまり大学にも行けず、こういった機会がなかったので3年生の最後「屋久島×明治×明星」で新たな刺激をもらいながらゲーム開発が一緒にできて参加できて良かったです。特にチームのみなさんには感謝しています!また、今回屋久島に行くことはできなかったものの、行くことができなかったからこそ知れた屋久島の知識や魅力を知ることができて11月屋久島に行けるのがより楽しみになりました。

勝島楓(明星大学 教育学)

1から作りあげるという作業が、難しく、そして楽しかったです。外出が少ない今、友達以外の人と話す機会は大変貴重で、学部や置かれている環境が違う方とゲーム制作を通じて意見を交換することができて多くの刺激を受けることができました。自分の中にある当たり前や価値観が、自分を取り囲む環境から一歩出るだけでこんなにも変わってくるんだ、と感じることが多かったです。そんな中でも、共通して「楽しいゲームを作りたい」という意識があることがとても素敵だなと感じました。そして、屋久島の方々の「屋久島愛」も伝わり、より一層屋久島に行きたいという気持ちが高まりました。素敵な4日間をありがとうございました。

曽嘉朗(明治大学 国際日本学部)

今回は4日間、SDGsのカードゲーム開発を遊ぶように学びました。屋久島の先生方と明星大学の学生と交流ができて、とても貴重な経験になりました。頭の中のアイデアをうまく言語化して伝わることの重要性は改め感じました。どんな考えがあっても、グループのメンバーと意見交換をしないと何も生まれません。最初は自分の日本語の表現力を心配し過ぎてあまり発言しなかったですが、グループメンバーたちの熱情でアイスブレイクがすぐでき、グループ内のコミュニケーションも徐々に盛り上がってきました。

私のグループでは屋久島やSDGsとの関係性をフォーカスしない方針でした。なぜなら、目標にこだわりすぎると、想像力は縛られてしまうからです。2日間でゲームをゼロから作り上げることは難しいなと思いましたが、グループ内のアイデアがお互いに刺激を与え合いながら、とんでもない案が生まれました。私がパッと提案した原始人生活はみんなに納得されることは思わなかったです。その上、他のメンバーから多様な要素とアイデアを混ざり合えて、集大成のゲームに進化したのも感動しました。みなさんの主動的なGIVEはプロジェクトのプロセスに大きな燃料になりました。

写真:アイデアが形になっていく
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戸澤月(明治大学 国際日本学部)

チームでプロジェクトを進行する前は自分が1番歳下であることに少し緊張していたと同時に、ちょっとした甘えがあったと思います。ですがチームでプロジェクトを進めていくにあたって、私にファシリテーターを任せてくださり、それに身が引き締まる思いがしたと同時に、些細なことながらとても嬉しかったです。これだけに限らず、今回のプロジェクトはそれぞれが活躍する場面に年齢や立場といったことは介在しておらず、純粋にそれぞれの強みを生かした、まさにall starな環境だったように感じます。日本で暮らしているとどうしても、年齢や立場や性別といったものに拘泥したうえでの関係や環境であることが多いので、今回のプロジェクトのようにフラットに発言できる環境は個人的にとても新鮮で、クリエイティブなものをみんなで生み出すには最適な環境であるなと思いました。チームでゲームを考えたという達成感ももちろん大きいですが、私にとっては「クリエイティブなものをつくるための場所づくり」という面での学びも非常に大きかったです。11月またみなさんとお会いし、実際にアイデアを形にしていけるのを心待ちにしています。

写真:SDGsと関連させたゲーム開発
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